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​委員長挨拶

 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

 私たち、東北大学法学部模擬裁判実行委員会は「法学部生としての視点から社会問題を取り上げ、市民の皆様に法と社会の関わりについて考えていただくきっかけを作ること」を目的として、毎年秋に模擬裁判公演を行っております。その公演も、市民の皆様に温かいご支援を賜りまして、今年で74回目を迎えることとなりました。毎年、注目の時事問題や世相を反映したテーマを扱っておりますが、本年度のテーマは「内部通報」です。

 

 「内部通報」と聞くと、どのようなイメージが思い浮かべられるでしょうか。「内部通報」とは、企業などの団体内部で行われている不正行為を、企業の通報窓口に訴えることです。このような通報窓口は企業の不正を早期に発見し、対処するために設置されています。また本来であれば、通報者は不利益な扱いを受けないように公益通報者保護法によって保護されます。しかし実際には、窓口に通報すれば、途端に通報者を探し出そうとし通報者が不利益な扱いを受けてしまうというケースも少なくありません。このような状況では、通報制度に対して不信感や不安感を抱いてしまい、通報することをためらう人が増えてしまうことで、内部通報が持つ「企業をより良くする力」が十分に発揮されなくなってしまいます。

 本公演の主人公は、息子のコンプライアンス違反を摘発した社員を炙り出そうとした、とある地方企業の重役です。息子のためを思った行動によって主人公は、息子、職場の社員、そして社会からの信頼を失い、孤立していきます。

 犯人探しに乗り出してしまったために全てを失ってしまった主人公。内部通報を受けて彼がすべきだった行動は何だったのか。内部通報の現状やあるべき姿について再認識していただけますと幸いです。

 最後になりますが、顧問の中林先生やOGOBの諸先輩方、東北大学法学部同窓会をはじめ、多くの方からのご支援に心から感謝申し上げ、委員長挨拶とさせていただきます。

 

東北大学法学部模擬裁判実行委員会

第74代委員長 内藤裕雅

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